医師求人サイトの広告を時々見かける。医療従事者の不足による診療科の縮小や病院の閉鎖が各地で相次ぐ中、日本の医師の数が「足りない」と感じている人の割合が9割に上ることが、NPO日本医療政策機構の4月21日までの調査で明らかになった。
このように、医師・看護師不足を原因にした診療科や病院の縮小・閉鎖が全国で相次ぐなど地域医療の崩壊が懸念される中、国立病院も深刻な医師不足に直面しているようだ。独立行政法人国立病院機構による2007年度の医師配置定数は5,170人だが、実際の医師数は200人の欠員状態という。国立病院でさえ医師が不足しているのだから、民間の病院ではもっと大変なのだと思う。医師の求人や転職を支援する業者が増えているのも当然であるのかもしれない。
帝国データバンクによると、医療機関の倒産がとまらないようだ。倒産の主因別では、「販売不振」が最多となっている。倒産件数増加の最大の要因として帝国データバンクが挙げているのが、06年の診療報酬本体が3.16%引き下げられたことに伴う「販売不振」だ。しかし、直接的な点数引き下げによる影響以外に、必要な人材を確保できずに破産に追い込まれるケースもあるようだ。
新潟県糸魚川市で「姫川病院」を経営する糸魚川医療生協が2007年7月、深刻な医師不足から破産に追い込まれた。同病院によれば、医師不足は新医師臨床研修がスタートした2004年ごろから徐々に顕在化したようだ。同病院は今後も医師確保のめどが立たないほか、負債額が多すぎることなどから民事再生を断念。閉院という最悪の道を選んだという。
「医療立国論−崩壊する医療制度に歯止めをかける!」を著した帝京大学医学部名誉教授の大村昭人さん(同大学医療技術学部臨床検査科主任教授)は、ダイナミックな理論のイメージからは想像もできないほど、親しみやすい笑顔と柔和な雰囲気を持つ人だ。「世間では医療が崩壊すると叫ばれているが、どうすればよいのか提案することが大事だ」。医療崩壊ではなく、医療立国へ。